YPbPr to RGB トランスコーダの製作

XBOXやGAME CUBE、Wii、PS2、DVDプレーヤーなどの色差コンポーネント出力D2,D3,D4信号(YPbPr)を、PCのモニタに映す為の変換器です。

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出力画面サンプル

製作したトランスコーダを通してEIZOの17インチモニタFlexScan E57Tに出力しています。
それをデジカメで撮影しました。写真では明るさなど多少差が出ていますが、同じ状況での撮影です。
実際は、くっきりと鮮やかで、変換された映像は非常に満足のいくものです。
ゲーム機のAVケーブルを改造したコネクタを使い、トランスコーダまで約15cm、モニタまでは1.5mの市販ミニDSub15pinケーブルで接続しています。
一般的に、接続ケーブルを長くし過ぎると、画質は劣化します。
画像は縮小してあり、リンク先がオリジナルです。

XBOX GUNVALKYRIE (D2から変換)

トランスコーダで変換したVGA トランスコーダで変換したVGA トランスコーダで変換したVGA トランスコーダで変換したVGA トランスコーダで変換したVGA トランスコーダで変換したVGA トランスコーダで変換したVGA トランスコーダで変換したVGA

(参考) RGB15kHz(D1) 直出力 モニタFMT-DP536

RGB15kHz直出力 RGB15kHz直出力

GAMECUBE ゼルダの伝説 風のタクト

VGA直出力の方が少しきれいかも?という程度の差です。
D2から変換したVGAVGA直出力(参考サイト GC用RGBケーブルの製作方法)
トランスコーダで変換したVGA VGA直出力
トランスコーダで変換したVGA VGA直出力
トランスコーダで変換したVGA VGA直出力

製作

この回路は、xboxhacker.netのフォーラムなどでKen Gasper氏が公開された回路図をもとに製作しています。

材料

***注意*** 現在、専用のIC(LMH1251)が出ており、以下の回路のようにたくさんの抵抗を使うことなく、同等のものが作れます。 ******

品名数量補足
IC
LT1399CS13回路内蔵電流帰還オペアンプ LMH6739
ICL76601ボルテージコンバータ +5V電源を−5Vに変換します NJU7660、LT1054等各社同等品多数あり
LM18811同期信号抽出 EL1883(ピン互換有り、本当のHsync出力有り)、ISL59885(ピン互換なし、HDTV(D4)対応)、LMH1981(ピン互換なし、HDTV(D5)対応)
コンデンサ
0.1uF (104)6積層セラミック オペアンプ部は0.01uFでもよい
16V 10uF2電解コンデンサ
16V 100uF1電解コンデンサ
金属皮膜抵抗 1/4W 誤差1%
75.03
80.62
86.61
4421
5111
5491
6981
9311
1.02K1
1.05K1
1.30K1
1.78K1
2.00K3
2.80K1
4.99K4
5.76K1
680K1または、100K〜280K位の固定抵抗と、500K〜1Mの可変抵抗の組み合わせ
その他
ユニバーサル基板1Sunhayato ICB-288G (47mm×72mm),ガラスエポキシ
SOPIC変換基板1Sunhayato ICB-010 (38.1mm×62.96mm)
8ピンICソケット2丸ピンICソケット等
配線材1.5C-2V(75Ω同軸ケーブル)等
プラグ、コネクタ類
ICと抵抗は、Digi-Keyで買いました。送料2千円で、1週間程度で届きます。
ICは、同等品で置き換えられますが、抵抗はRGBに変換する肝の部分なので、値を変えると色合いが変わります。
これらの値の抵抗が見つからない場合は、近似値のもので代用するか、 直列や並列につないで近い値にします。可変抵抗に置き換えれば、調整もできると思います。
電解コンデンサには、オーディオ用の高級品を使ってみました。OS-CONにすると電源によってはノイズが減り、画質が良くなる可能性があります。

3端子レギュレータ、同期信号削除の回路まわりの部品は、この表に入っていません。

通販サイト サトー電気 共立電子 秋月電子(スイッチングACアダプタなど)  RSオンライン(D端子コネクタ DX10LM2-14SE、ICL7660、高性能コンデンサなど)
LT1399CSは、2004年1月現在、千石電商の通販でも買えます。(半導体>IC>OPアンプのページ) NJU7660も扱っているようです。

部品を買う場合、破損や不良品対策に、余分に買っておくことを勧めます。
抵抗は、誤差があるので10本、100本単位で買って、選別するのもいいでしょう。

実体配線

部品面半田面半田面 (電源と同期ラインを繋いだ)
完成した基板 部品面 完成した基板 半田面 完成した基板 半田面
中央に並ぶ抵抗群とその右の変換基板に乗ったLT1399がトランスコーダ部です。左上の抵抗3つは色差入力終端用です。
左下のLM1881まわりが同期分離回路部です。
右下の7662と脇の2つの電解コンデンサが+5Vを-5Vに変換しています。
中央下の電解コンデンサは回路全体のデカップリングコンデンサです。
ノイズが出たら、銅テープでベタGNDを作るつもりで、スペースを空けましたが、そういう場合は金属ケースに入れ、ケースとGNDを接続したほうが効果的です。 黄色線が+5V入力、白線がGNDです。左下の同軸ケーブル3本が色差入力です。中央真横に走る2本が、同期信号で、右端3本がVGA出力です。同期信号はデジタル信号なので、普通のシールド線でもかまいません。

RGB変換部は以下の表のような構成になっています。横方向につなぎます。
上の写真の中央の抵抗群は、この表のとおりに上から並んでいます。
抵抗5.76KΩの片方を+5Vにつなぎ、もう一方をLT1399の1ピンにつなぐ、そしてLT1399の16ピンはGNDにつなぐ、という意味です。
2行目ではLT1399の1ピンと15ピンを2.00KΩでつなぎ、さらに15ピンからは75Ωを通してred出力としています。
+5V5.76K1399_1pin1399_16pinGND
GND5111399_1pin2.00K1399_15pin75.0Red出力
+5V4.99K1399_2pin
GND86.6Y入力1.02K1399_2pin
Pr入力6981399_2pin
GND1399_3pin0.1uF1399_14pin+5V
GND80.6Pr入力1.30K1399_4pin1399_13pinGND
GND80.6Pb入力2.80K1399_4pin2.00K1399_12pin75.0Green出力
Y入力9311399_5pin
+5V4.99K1399_5pin
GND1.78K1399_5pin
GND1399_6pin0.1uF1399_11pin-5V
+5V4.99K1399_7pin
Y入力1.05K1399_7pin
Pb入力5491399_7pin
+5V4.99K1399_8pin2.00K1399_10pin75.0Blue出力
GND4421399_8pin1399_9pinGND

LT1399CS 配線図      2.00kを200kと間違えたりしないよう、抵抗値の小数点に注意してください
LT1399 配線図
電源端子のコンデンサは、グランド側を一箇所でまとめて接続(一点グランド)します。+5Vと-5Vの電源端子間にも、コンデンサが必要です。
積層セラミックコンデンサは端子に直付けするくらい、ICの近くにつけます。LT1399CSに付けるコンデンサは、扱う周波数から0.01uF(103)の方がよいかもしれません。

同期分離(同期信号取り出し)/ボルテージコンバータ/3端子レギュレータ 配線図
同期分離(同期信号取り出し)/ボルテージコンバータ/3端子レギュレータ 配線図
・D2表示が上下にぶれる場合、LM1881の680kΩの値を小さくします。D3(1080i)が乱れる場合、280kΩ位にします。ここの抵抗値は、出力機器やモニタによって最適値が変わるので、図の囲み内のように可変抵抗にして調整できるようにしておくことを勧めます。
・LM1881のY IN入力部には、データシートを参考にして 620Ω と 510pf でのフィルターを入れておいたほうがいいかもしれません。
・+5Vを作っている3端子レギュレータLM317Tは、+5V出力専用の7805を使ってもOKです。低電圧出力である7805の場合、性能は317と同程度です。
・ノイズを抑えるためにインダクタを入れるより、電源(ACアダプター)を変えたほうが効果的な場合もあります。

抵抗値や部品の有無など、写真と違う部分もありますが、配線図のほうが最新のものです。
モニタへの接続は、上の回路で作ったRGBの各信号と、HSyncとVSyncの同期信号、GND(グランド)をつないでください。GNDはすべて余さずしっかり接続します。


モニタがSync on greenに対応していない場合、LT1399CSのY Inの前に、下図の「出力されるRGB各信号から同期信号を削除する回路」を入れます。
これは、同期信号の出力期間中に、同期信号の載ったY信号をオフにする回路です。
74HC04の先のスイッチは、「Sync on RGB」と「同期信号削除」を切り替えるものです。
LM1881へ入れるY信号はこの回路に入る前からとります。
スリーディ.コムのTM-29DにプログレッシブDVDプレイヤーをつないで、動作確認しましたが、機器によってはうまくいかないかもしれません。

-5V作成にNJU7662を使っていますが、LT1399内部の回路6つ(3回路x2個)をすべて有効にする(LT1399のpin9,13,16をそれぞれGNDにつなぐと有効)と、消費電力が多すぎて電圧が出なくなります。ICL7660では大丈夫でした。
下の回路使用時は、4回路だけ有効にしています。(LT1399のpin9と13を未接続)

同期信号削除 回路図
Sync Strip 回路図

同期信号削除回路付き基板 写真
Sync Strip付き基板 部品面 Sync Strip付き基板 半田面 電源プラグ ケース入り
LT1399のピッチ変換はSunhayatoのシール基板ICB-061です。
見えませんが、同期調整ボリュームと同期信号削除 OnOffのスイッチをつけています。
同軸ケーブルは、シールド線を基板にしっかりハンダ付けし、芯線には無理な力がかからないようにします。 電源は、DCプラグに7805を直付けしています。デカップリングにチップ積層セラミックコンデンサ、裏側に保護用のダイオード(OutからInに向けて)を付け、秋月電子のスイッチングACアダプタ 9Vを使用しています。
7805は熱くなりますが、触っていられる位なら問題ないです。
7805を基板上に移し、ケースに入れました。7805の脇に、100uFを入力側1個、出力側2個つけています。
D端子コネクタは、何かのジャンク基板からの再利用ですが、RSオンラインから買えるようです。

トランスコーダ 回路図  (LT1399CS以外のオペアンプを使う場合、参考にしてください)
トランスコーダ 回路図

できあがり

機器につなぐ前に、ショートがないか、テスターで十分確認します。特に+-5VとGND間の抵抗値が数百Ω以上あるか確認します。
映像が出ない場合は、回路的にはLM1881の680kΩの値を換えます。他には、配線ミス、ハンダし忘れ、+5V,-5Vが出力されているかを確認します。-5Vは実装時-3V程度です。DSubコネクタの配線も間違いやすいです。
LM1881の1pinの出力は、実はHSyncではなくCSyncなのでモニタによっては問題になるかもしれません。

ケースに入れずこのまま使ってますが、ノイズもなくいい感じです。(今は破損防止のためケースに入れています)
同期信号削除の回路なしでは、同期信号がRGB各出力に乗り(Sync on RGB)、Sync on green対応モニタ以外では画面が白っぽくなります。
DVDプレイヤーの出力では、コピーガード信号の影響で映像が乱れる場合があります。

D2 (31.5kHz), D3 (33.75kHz), D4 (45.0kHz)入力に対応しています。D5(67.5kHz)は映りません。LM1881が、D5の周波数に追従できないためと思われます。LMH1981なら映るのかもしれません。
D1(YCbCr)は変換式が違いますが、モニタが15kHz入力に対応していれば、映すことはできます。

PS2のD1信号を入れて15kHzモニタで使ってみましたが、変な色になることはなく問題なく使用できる感じです。

XBOX360のD2出力で、なぜか緑色の映像になりました。D1出力で緑色なら不思議ではないのですが。D3、D4での使用は問題ありません。

Wiiでも使用できました。 ただ、ゲーム起動時のコントローラの注意画面など白っぽい場面で、画面が途切れる場合があります。DELLの液晶モニタ2001FPでこの現象を確認しました。
LM1881を、EL1883へと交換してあるのですが、ブラウン管モニタのTM-2935FHでは、EL1883のRSET値を調整すれば、この現象は収まりました。
EL1883の入力部に、データシートを参考に620Ωと510pfでのフィルターを入れ、RSET値を調整したところ2001FPでも問題なくなりました。


液晶モニタに映す場合、D1とD3出力はインターレースのため表示できません。

参考リンク

質問はこちらへ。誰かが答えてくれるかもしれません。 [RGB←→D端子] トランスコーダー総合

オペアンプ部を解説されている方がいました。未検証ですが、入手しやすい抵抗値にすることができそうです。 http://science3.2ch.net/test/read.cgi/denki/1076506958/193-抜粋

当ページとは逆に、RGB出力を変換し、テレビのコンポーネント端子につないでいます。RGB to HDTVトランスコーダーの製作 http://trasco.s53.xrea.com/
RGB to HDTVトランスコーダー RGB to HDTVトランスコーダー変換コネクタ
リンク先を参考に作ってみました。これでD端子入力のある普通のテレビに、RGB出力機器を接続できるようになりました。
識別信号用のスイッチがまだ付いていません。ボルテージコンバータにICL7660のSOPタイプを使いましたが、これはDIPタイプの手持ちがなかったからです。

右は、RGB21ピンコネクタ用の変換接続ケーブルです。音声出力端子が付いています。LM1881で同期分離しています。RGB各ラインに1000uFの電解コンデンサを入れていますが、普通に映る場合は入れません。
21ピンケーブル内のコンデンサを、液漏れなどの理由で外してある場合に必要です。
DreamCastや、スーパーファミコン、PlayStationも問題なく映りました。SEGASATURNは、純正RGBケーブルの場合、接続されているGND端子が少ないので、この変換ケーブルの21ピン端子側でGND(3,7,13,14,17,18,21pin)を全結線しておく必要があります。
MSXはRGB端子の+5Vが弱いようで、LM1881用に他から取る必要がありました。
アーケ−ド基板は未検証です。
PC-98やPC-88などは、DSub15pinとミニDSub15pinの変換ケーブルで映せると思います。
それぞれの入力コネクタと切り替えセレクタを内蔵させれば、多入力の変換接続BOXになりそうです。
15kHzRGBの映り具合は、S端子入力よりややきれい?くらいな感じでした。色合いに不自然さはありませんでした。PanasonicのTH-32D55を使用しましたが、テレビや出力機器によって画質は変わると思われます。



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